I am a slave to my passion.

食欲、物欲、独占欲、その他もろもろ。欲望は日々を生きるエネルギー(たぶん)。東京在住編集者のにっき。読書の記録なども。

コンプレックスがひとつ減りました。

かつて彼氏だった(現・夫)モテさんから、交際開始直後に「このまま君を好きで居続けたい」と言われたことがある。なぜ継続にこだわるんだろう、と思ったら、結婚前提っぽい意味だったらしい。で、実際それが続いてるかどうかというとビミョーなんだけど。たぶんお互い様な話だけど、好きな時も嫌いな時も普通の時もどうでもいい時も、ある。といったところではないかな。交際だったら嫌いになったら別れるんだろうけど、結婚だと、嫌いじゃなくなるまでやりすごすほうが現実的なんだよね。

 

というわけで、夫婦間の好ききらいはさておき。

私自身が私を好きかという話。

実はここ数年の間、年齢が上がり基礎代謝が落ちてでも食欲はもっとアップして(仕事が忙しいとご飯しか楽しみがなくなるダメ人間!)ずっと太り続け、そろそろ伊勢丹で大きいサイズ売り場に行くしかないか、というところまでいった。ていうか行ったほうがよかったくらい太っていた。が、スポーツジムに行き、夜は主食は我慢してお酒と肉か魚、みたいな感じにしたら、身長的にちょうどよい体重に収まり、普通サイズの服が普通に着られるところまで来た。まあ、そういう意味では太ってた時期の自分よりはいいかな~と思う。

と同時に、太ってなくなって、私はもうひとつ期待していた。

「あのコンプレックスから解放されるのではないか…」

それは、

人に異様に道や電車の乗り換えなどを尋ねられやすい。

というコンプレックス。

たくさん人が歩き回ってる新宿や渋谷の駅前で、確率的に当たらなそうなのに道を尋ねられたり、何十人も行列しててしかも数メートル先には駅員もいるホームで乗り換えを訊かれたり、これだけ人がたくさんいるのになぜ私?というのが多くて。週イチペースで話しかけられてしまうのがすごくいつも嫌で。嫌だとこぼすと「優しそうな人に見えるんだからいいじゃん、私なんて顔が怖いせいか聞かれたことないよ」と慰めてくれる人もたくさんいてくれたのですが、でもそういう人って大体美人だったりおしゃれだったり、垢抜けてるんです。そう、人に道を訊かれやすい=ちょいダサ、という感じが嫌で嫌でたまらなかった。だって自分がもしそういうのを訊くとしたら(自分が訊かれるのが嫌いだから、駅なら駅員、街なら交番かどこかのお店の店員さんに訊くようにしてるけど)、やはり、ちょっとダサくてスキがあって、よく言えば親しみやすそう、悪く言えば舐めやすい相手を無意識に選んじゃうと思うんです。だから、自分がそういう部類の人間なんだな、と、人に道を訊かれるたびに自分が嫌いになるのでした。

で、ダイエットをやって、標準体重になったとき(ちなみに身長は160cm…ほんと平均的な感じです)、思いました。

丸みが減って、親しみやすさも減り、道を訊かれなくなるかも!

 

しかし、体重の増減と道を訊かれる頻度に相関関係は残念ながらないようで、体重減ってもおしゃれしてもアイラインをきつめに入れても、相変わらず、老人を中心に道を尋ねられる日々は続くのでした。前世で人の道を外れたことをしたから今生では人に道を教えるのが持って生まれた役割、とか、スピリチュアルレベルでしょうがないのかな(笑)、と、イヤな気持ちになりながらも、諦めつつありました。ていうか、実際諦めました。

私は、私のことを全く知らない人から見ても、話しかけやすいタイプの人間なんだ、という事実を受け入れざるをえないのだと。

 

…ところが、先日ふと気づいたのです。

確かに急いでる時に知らない人に馴れ馴れしく道を訊かれたり時には雑談まで振ってこられるのは不愉快だし、暇なときも避けたいんだけど…仕事で初対面の人と会うときとか、スポーツクラブのロッカーで隣合った会員さんと目が合ったときとかに、話しかけてもらえる確率も高いんですよね。で、仕事の話が早めに始められたり、スポーツクラブでもお友達ができたり、インストラクターさんからどんどんアドバイスをもらえたりもする。つまり、話しかけてもらう機会が多く、受身でいても、いろいろな人と出会えてるじゃん、と。

見知らぬ人が見知った人になるチャンスが人より多いのかも、と思うと、ちょっと楽しくなってきました。愉快。

コンプレックスの根本的な解決ではないけど、一周回って、あ、これっておいしくもあるんだ、とストンと落ち着きました。

「逃げる」林由美子

Amazonの画面には出てないけれど、この本の帯のアオリがとにかくすごかったのです。

 

この疾走感、桐野夏生を超えてます!

 

例えれば「このイケメン、伊勢谷友介を超えてます!」とか「このシャンパン、ヴーヴクリコを超えてます!」みたいな感じで、あまりにもすごいものを超えちゃってないか?的な意味でのすごいアオリっぷり。そんな帯を書店で見てびっくりして、びっくりした勢いで、作家の名前もあらすじなどもロクにチェックせずに買って帰りました。で、気づくと宝島社のものでした。

宝島社は、私の大好きなVOWシリーズを出している版元さんですが、こちらから出てるミステリー(このミス大賞とか主催してるのでたくさんあります)、正直、あんまり相性良くなくて、読まずにいたんだけど…衝動買いしちゃったかなー。と一瞬どんよりしました。

だいたい、○○超えってあおられてても超えてないケースって多々ありますよね。お母さんの若い頃より美少女らしいよって噂される女優やアイドルの娘が2世タレントとしてデビューすると「超えて…ないじゃん!」的なパターンとか。まあ、超えてなくても○○の7がけくらいだったらまあセーフ、みたいなアオリなんだよね。

というわけで、桐野作品の7割くらい面白ければまあ許そう(偉そう(笑))と思い読み始めました。

 

お話は、会社をクビになった40歳の冴えない女性が、年下の男性と一緒に会社のお金を盗み社長の孫娘をさらい逃亡犯になる、というスピード感あふれるサスペンスです。ドラマにするなら、尾野真千子みたいな暗い目をした女優さんにやってほしいヒロインです。逃亡のパートナーになる男は綾野剛かな。

と、脳内キャスティングがはかどることからもわかるように、映像的で一気に読める1冊でした。桐野さんの重たくてドロッとした感じというよりは、乃南アサとか柴田よしきとか、あのへんの、女性の焦燥感をからめたミステリーに近い作風かな。唯川恵とか。…ただ、そのあたりの抜群の安定感があるベテラン女性作家さんと比べると、文章が時々荒くなったり、心理描写が雑な部分もあったのは事実。ただ、勢いで読みきることができるので、そのへんはまあ、アリ、な範疇かな、と。

導入部を読んでいて、逃亡犯のふたりが旅するようにあちこちを逃げまくる動きの激しい話になるのかな、と思ったんだけど…偽名を使い身元を探られないように街に溶け込んで普通の暮らしを営むシーンが多め。で、ちょっと親しい人ができたりすると、バレるんじゃないかと読んでいる側もドキドキです。実際、オウム真理教事件で指名手配されていた男女が同居して、何年もそうやって暮らしていたこともあったし、福田和子にしても、和菓子屋さんで働いてそこの主の内縁の妻みたいになってた時期は結構長かったし、そういう、犯罪者だけど逃げも隠れもせずに、自分じゃない振りを続けるっていうのがリアルな気がしました。

で、ふたりで一緒に逃亡してるわけなので、本当の自分を出せるのはお互いだけ。恋愛経験を持たない冴えない40歳の方は、年下の男を異性としてすぐに意識しちゃうし、彼は、それをわかってて疎ましく思ってる。だけど行動を共にするしかない、という、気持ちの通じ合わないふたりが、逃亡を通して、同じ風景を見て、同じ秘密を守るために必死になるうちに…という人間ドラマとしての側面も魅力的な1冊でした。ジェットコースターに乗るみたいな勢いで読める本を求めているときにいいんじゃないかな。

 

逃げる (宝島社文庫『日本ラブストーリー大賞』シリーズ)

逃げる (宝島社文庫『日本ラブストーリー大賞』シリーズ)

 

 

「その手をにぎりたい」柚木麻子

読み始めたら止まらなくなり、通勤のメトロで読んでたら、なんと今度は涙が止まらなくなり、泣きはらした顔で出社するハメになった1冊。

小説で泣いたのは何年ぶりのことだったっけ。

 

80年代の東京で暮らす女性が、銀座の寿司職人に寄せる想いを丹念に綴った恋愛小説としても、バブル時代の東京を描いた都市小説としても、とてもいい1冊だった。

お皿に置くとシャリのデリケートさがダメになるからっていう理由で、職人の手から客が直接寿司を受け取って口に運ぶお店が舞台なんだけど、考えたら、男の手から受け取った食べ物をそのまま口にって、結構色っぽい感じしますよね。

しかも、その手の主は硬派な職人カタギの男性。

この設定だけで、恋愛小説としては成功といっても過言ではないでしょう。

ヒロインの青子の肩肘張った生き方は、地方出身で、東京に何らかの期待をして出てきた女性なら、時代は違っても、ああ、と、どこかで、認めたくないけどわかる部分がありそう。帰る場所はあるけれど、帰りたくない。だから頑張るしかない、という、退路はあるけど見えないことにしとく感というか。

女と男

女と都市

女と年月

小さな寿司を通して、結構この小説、大きくて重たいことが描かれてます。

私個人としては、その中で特に恋愛小説としての側面に一番惹かれました。好きな人に対して臆病になる勝気な女性、という王道のヒロイン像、最近の小説やドラマではあんまりお目にかかってなかったな、やっぱり好きって感じで。

いい恋愛小説読みたいなって言われたら迷わず薦めます!

 

以下余談ですが、向田邦子の小説「隣の女」で、男が街角で甘栗を買って連れの女の口の中に押し込んで食べさせるシーンがあるんだけど、あれも相当エロせつないシーンだと今は思う。初めて読んだ中学生の時は、歩きながら男にものを食べさせてもらうなんてペース配分難しそうだし、キレイなラブシーンでもないしなんだかなあって感じがしてそんなにドキドキしなかったんだけど。ちょっと読み返したくなってきました。

その手をにぎりたい

その手をにぎりたい

 

 

今年既に靴を半ダース入手済みの件。

靴を半ダース。

1月4日に髪の毛を切りにお出かけした時に新宿で2足。

あとは最寄り駅から一番近いメジャー駅の池袋で4足。

2014年に入ってから靴を半ダース買ってます。

すべていろいろなデパートのセールで、3割引きから半額くらい。

週に1足以上買ってる、靴を数える単位がダースってどうよ、などと、いろいろとツッコミどころはあるのですが、靴って、もともと履いてたのが劣化してきて新しいのが必要な時に限って、好きなのが売ってなくて困ることが多いので、買ってストックしておくのが大事なアイテム(私にとっては)。気に入ったものがあれば躊躇せず購入して、ワインのごとく熟成させておきます。この間に服の趣味が変わるとか若干のリスクはあるのですが、ヒールの高さとか色とか、基本的に好きなタイプがきまってるので大体だいじょうぶ。というわけで、履いている靴がダメになったとき用の買い物です。楽しいけどすこし切ない感じ(笑)。

リーガルの紐ぐつと紺色のブーティーと黒のブーティー

卑弥呼(すごい名前だけどコンサバなパンプスが可愛い)の紺とエンジのコンビ靴

Body DressingDeluxeの黒のピンヒールのブーティー

Odette e Odileの黒スウェードのブーティー

なんだこの怒涛のブーティー購入!

と書いていて自分でも思いました。

ワンピースとかジャケットとかカチッとした服を着てパンプスだと、カチッとしすぎるので、そういう時に履きたくて選ぶことがどんどん増えてきた模様。

 

しかし、パンプスと比べて靴箱の中でかさばる傾向アリ。

すぐ履くもの以外はクローゼット行きにしたほうがいいかも。

 

かんたんな挨拶から自己紹介をしてみましょう。ってはてなさんが推奨してるので。

はじめまして、tohkoです。
お久しぶりのかたもおられるかもですが、まあ自己紹介から。

伊勢丹とかどこかのバルとかに棲息してるって言っても差支えはない程度に買い物とお酒とご飯が好きな普通の女です。

でも、人さまからは、買いすぎ、飲みすぎ、食べ過ぎ、遊びすぎと言われます。自分では普通のつもりなんだけど…

はて?

というわけではてなブログです。

以前Exciteあたりで書いてたのですが、仕事が忙しくなってやめちゃって。まあ、久々に書いてみようかと思いまして。はてなさんは、お初です。

お酒と買い物以外に、人から多いねってよく言われるのは読書量。本をいっぱい読むと頭がよくなるとか、えらい人になるという…そのへんの世間で時々見受けられるカンチガイは、私を見れば、あ、違うんだ、と一発で分かるような、そんなへっぽこな本好きです。

本が好きなので本屋さん、というわけではないのですが仕事は編集。転職経験ナシの、出版しか知らない世間知らずなところがあります。食べ物が好きなので食品メーカーを受けまくったのですが氷河期世代なもので、なかなかね…で、紆余曲折を経て出版業界に十数年お世話になってます。社員編集者の宿命で、いつも、自分がプライベートでは読まないジャンルの本ばかり担当しているので、仕事で読む本とプライベートで読む本が全然違ってるのも、読書量が多くなる原因かな~。

家族は同業の夫ひとり。モテるらしいのでモテさんと呼んでますのでここでもたぶんそう呼びます。

買い物とお酒と本しか出てこないどうしようもないブログになる気配がすでに滲んでますが、何かの足しになれば。よろしくお願いいたします。